心にうつりゆく よしなしごと
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作成日:2020/10/20
最高裁判決に思う



先週は相次いで、労働契約法20条(短時間・有期雇用労働法8条)に係る最高裁判決が出されました。
13日には、大阪医科大学事件とメトロコマース事件。
15日には日本郵便(大阪・東京・佐賀)事件。

13日の大阪医科大学事件の賞与の支給の有無、メトロコマース事件の退職金の支給の有無に関しては、正規・非正規社員間の待遇格差について「不合理ではない」(賞与や退職金の支給が無いことは待遇格差には当たらない)のという判決だったため、ニュースでもかなり大きく報じられました。

今回の判決だけ見て、非正規社員は賞与も退職金も支払わなくても良いのかという論調になるのは困ったことで、判決文を読むと、「賞与や退職金の性質や目的」や「業務の内容及び業務に伴う責任の程度(職務の内容)」また「正社員への登用制度」などをそれぞれ考慮した上での判断となっているようです。
その判決文も「不合理であるとまで評価することが出来るものとは言えない」という、なんとも歯切れの悪いものとなっています。
また、大阪医科大学事件では裁判官全員一致の意見での判決となっていますが、メトロコマース事件では反対意見があり(判決文に記載されています)その反対意見もなかなか興味深いものでした。
そのため、賞与や退職金の性質や目的、職務の内容などによっては、非正規社員でも今回とは異なる判決が出る可能性もあるのではと感じました。

大阪医科大学事件
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/767/089767_hanrei.pdf

メトロコマース事件

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/768/089768_hanrei.pdf

労働契約法 20条 (期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
『有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(職務の内容)当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事業を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。』

 
 
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